研究活動

現在、研究室で取り組んでいる研究一覧です。

新しい課題にも積極的に取り組んでおります。

 

・ダイラタンシーのメカニズムに関する研究

・石炭ガス化溶融スラグを細骨材に用いたコンクリートに関する実験的研究

・超高強度遠心成型パイル

・低炭素型コンクリートの耐久性に関する研究

・老朽化した下水道管渠の更生工法に用いられる裏込め材の開発

・常温硬化型超高強度繊維補強コンクリート(UFC)の研究

・ビーライト・ゲーレナイト系クリンカーを用いたコンクリートの自己治癒性に関する研究

・塗布および浸漬工法によるコンクリートの乾燥収縮低減剤の開発

・シリカ系天然鉱物微粉末を用いたモルタルの止水性能に関する実験的研究

・半たわみ性舗装用セメントミルクの充填性評価法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイラタンシーのメカニズムに関する研究

ダイラタンシーとは、でんじ○う先生が水の上を走る、あの現象です。ダイラタンシー流体に力を加えると、

固体のような挙動を示します。

これは粉体に少ない水を加えたもので多く発生しますが、材料分野(コンクリート)も例外ではありません。

ダイラタンシーが発生すると、練混ぜや施工が困難になることから、私たちはメカニズムの解明を目指して実験を行っています。

 

 

 

石炭ガス化溶融スラグを細骨材に用いたコンクリートに関する実験的研究

2011年の東日本大震災から、原子力発電から火力発電が再注目されるようになりました。

その中で、高効率な石炭ガス化複合発電が開発されており、そこから排出される新しい産業廃棄物が石炭ガス化溶融スラグであり、その有効利用方法が検討されています。また近年、コンクリートに使用される天然骨材は、自然環境を保全するための天然骨材の

採取制限により、不足していることから、代替骨材の開発が進められています。

そこで、石炭ガス化溶融スラグをコンクリート用骨材として利用することができれば、石炭ガス化複合発電の利用拡大や骨材不足の

解決に期待ができます。現在は、スラグ骨材を混和したコンクリートの性状を把握し、凍結融解抵抗性を向上させる研究を行ってい

ます。

 

 

 

超高強度遠心成型パイル

コンクリートパイルとは

・建築物の土台となる基礎工事では、必要不可欠であり、その一つの方法として既製杭(工場で生産したコンクリートパイル)を

用いた基礎工事で使われるもの。

・軸方向鉄筋、スパイラル状の用心鉄筋ならびにリング筋で補強され遠心力締固めを用いて製造される。

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研究背景

・構造物の高層化・大型化によりコンクリートの高強度化

・遠心成形コンクリートパイルの高性能化

 

 


圧縮強度140160N/mm2を有する超高強度遠心成形コンクリートパイルの開発を目指している。

 

 

 

 

低炭素型コンクリートの耐久性に関する研究

 

ãŒèç¡«é…¸ コンクリートãã®ç”»åƒæ¤œç´¢çµæžœ近年、地球温暖化に配慮した材料としてセメント量の少ない低炭素型コンクリートが注目

されています。また下水道施設ではコンクリートの硫酸侵食が大きな問題となっており、

基本的にコンクリートはアルカリ性を示す材料でセメントと硫酸が反応し中和してしまい

ぼろぼろに崩れ去ってしまいます。そこで硫酸侵食による劣化対策を目的として耐久性の

高くセメント量の少ない低炭素型コンクリート開発の研究を進めています。

 

 

 


 

老朽化した下水道管渠の更生工法に用いられる裏込め材の開発

 

日本国内では、高度経済成長期に公共用水域の水質保全のため急速に下水道管渠の整備が行われた。ここから、下水道管延長距

離が年々増加し、平成10年にピークを迎え、下水道管の普及率は78%を超え、下水道管総延長距離は約47kmである。

ここで、下水道管の耐用年数が約50年とされており、現在約1.3kmもの耐用年数を超えた下水道管が供用されている。

また、今後急増されると考えられており、10年後には約5.3kmとなり、20年後には約13kmとなる。

本更生工法では、内壁が老朽化した既設下水管の内部に更生管を挿入し、既設管と更生管との隙間に裏込めモルタルを充填し、

一体化を図り、管壁厚を増すことにより強固な複合管として再利用するという方法が採られている。この裏込めモルタルの開発を

行っている。

 

 

 

常温硬化型超高強度繊維補強コンクリート(UFC)の研究

 

常温硬化型超高強度繊維補強コンクリート(UFC)とは、高強度モルタル内に繊維を混和することにより、150N/mm2以上の優れた

圧縮強度発現性を有し、塩化物イオンをはじめとする有害因子に対する侵入抵抗性、凍結融解作用に対する耐久性および弱点で

ある引張特性を改善した材料です。また、UFCの技術を高強度・高靭性を有する補修材として用いることで今後の維持管理の時代

への貢献が期待されています。当研究室では、粉体構成や混和する繊維が常温硬化型UFCの基本特性に与える影響について検討

を行っています。また、チクソトロピー性状を寄与することによって吹付け性能の向上にも努めています。

 

 

 

ビーライト・ゲーレナイト系クリンカーを用いたコンクリートの自己治癒性に関する研究

 

クリンカーとはセメント製造の中間生成物であり、これに石膏を加えて粉砕したものがセメントとなります。現在、セメント業界では、

産業廃棄物・副産物を受け入れ、これらを原料としてセメントクリンカーを製造しています。近年、廃棄物発生量の増減はほとんど

ないですが、セメントの国内需要は減少傾向にあることから、今後もセメント業界での廃棄物の受入れ量を維持するためにはクリンカ

ーのセメント以外の用途を考案する必要があります。

そこで本研究では、産業廃棄物を多く使用した、ビーライト・ゲーレナイト系クリンカーを用い、クリンカーの有効な利用方法の一つと

してコンクリート用骨材に着目しました。この研究では、コンクリートにひび割れが発生した際に、ひび割れ発生面に浸入した水とクリ

ンカーが水和反応を生じ、析出する水和生成物によりひび割れが充填されるという、クリンカーの水和反応性を利用した、補修を必要

としない自己治癒コンクリートの開発を目的としています。

 

 

 

塗布および浸漬工法によるコンクリートの乾燥収縮低減剤の開発

 

乾燥収縮によるコンクリートのひび割れは,構造物の耐久性などに悪影響を与えます。

既往の研究において,コンクリートの乾燥収縮低減方法として,尿素の混和が効果的とされています。しかし,コンクリート工場において混和材料を混和する方法は,投入品数増加,管理の

問題,練混ぜ時に投入する手間などにより材料および機材コストや人件費の上昇を招きます。

本研究では上記の状況を考慮し,より安価でかつ簡便な方法で乾燥収縮を低減可能な方法と

して,尿素と硫酸ナトリウムを一定の割合で混和した水溶液を乾燥収縮低減剤とし,脱型後の

コンクリート表面に塗布および含浸する方法を試みています。

 

 


 

シリカ系天然鉱物微粉末を用いたモルタルの止水性能に関する実験的研究

 

天然シリカ物質とされる混和材料「ベストン」をコンクリートに混和することにより、微細なひび割れを埋める止水性能を付与できる

ことが報告されています。しかし、「ベストン」自体がポゾラン物質であることは化学成分からおおむね断定できるものの、現状では

止水能力がポゾラン反応によるものと断定できていません。

そこで「ベストン」を、モルタルに混和した場合の止水性能およびそのほかの物性についての実験的研究を行っています。

 

 

 

 

 

半たわみ性舗装用セメントミルクの充填性評価法

 

半たわみ性舗装とは、空隙率2025%程度で追従性やたわみ性を有する開粒度アスファルト混合物の硬化後に剛性を有する

浸透用セメントミルクを充填したものであり、アスファルト舗装の路盤追従性を利用し、表面にクラックを発生せずに、アスファルト

舗装よりも剛性の高い舗装を製造することが可能となるものである。本研究では、P 漏斗流下時間以外の充填性に関する評価方法

を検討した。また、開粒度アスファルト混合物を模擬した充填装置を試作し、実際の混合物と充填装置に様々な配合条件で種々の

充填性を示すセメントミルクを実際に充填し比較検討を行った。

                       

写真1 開粒度アスファルト混合物         写真2模擬充填装置